立体的に書く

いささか唐突ですが…

このブログを訪れるすべての方のニーズに、お応え

できないことが、遺憾であります。

 

良かれと判断して書いた内容が、誤解や混乱を与え

ないことを願っています。

 

最近、私自身が、どこに向かって書くべきなのか、

迷い、悩んでいました。

なぜなら、この文章を読むのは、不特定多数の

外国人学習者の方だからです。

 

それで、内容が明快でなかったり、流れを重視

した結果、かえって重複したり、散発的になったり

するのに、反省しきりでした。

 

しかし、やはり基本的には、日本語ネイティブ

レベル、研究者レベルを目指す学習者を、意識して

書き進みたいと思います。

 

そこで、今日は、学位論文や投稿論文といった長い

論述をおこなう際、重要な点のひとつについて

お話しします。

 

すでに、意識しているひとも少なくないと思います

が、論文の「構成」をきっちりおこない、「部分」

と「全体」に目配りしつつ、連関を意識して書くと、

平板でない立体的な文章になります。

 

と、理屈はそうでも、それは、一気に体得できる技

ではありません。

 

しかし、この点を念頭に、書くことを積み重ねる

うち、感覚がつかめていくでしょう。

 

たとえば、締め切り間近の学位論文のサポートを

依頼された際、日本語の添削以外にも、可能な限り

完成度を上げたい、という希望を受け、平板な記述

を立体的に書き直していくことがあります。

 

結果、審査員からの「日本語表現がすぐれている」

というコメントには、細部の表現にとどまらない、

立体的に日本語が綴られている、という評価が

含まれていると考えられます。

 

先日も書いた通り「読ませる」文章は、多数の中に

あっても、埋没せず、輝きを放ちます。

 

そこでは、立体的に書く、ということが、切実に

かかわっているのです。

 

https://static.wixstatic.com/media/b1b4ec_bc9d3f6e5ab04fed8ae19dbd3bb97875~mv2.jpg/v1/fill/w_450,h_292,al_c,q_90,usm_0.66_1.00_0.01/b1b4ec_bc9d3f6e5ab04fed8ae19dbd3bb97875~mv2.webp

    建築家の前川國男(1905-1986)邸